🐾2 ペットの食事が感染源に?
― 生肉フードと鳥インフルエンザ「H5N1」をめぐる最新研究―
1.「自然派ごはん」に潜む、思わぬリスクとは?
「うちの子には、できるだけ自然なごはんを」と、生肉や未加熱の素材を使った“ローフード”を選ぶ飼い主さんも増えていますね。
でも、最近の研究で、生のペットフードや未殺菌の牛乳に高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスが含まれていたという報告がありました。
つまり、「自然派=安全」とは限らないということなんです。
ペットだけでなく、人にも感染のリスクが及ぶ可能性があることが分かってきました。
2.アメリカの大学が行った、信頼性の高い食品安全研究
この研究は、**アメリカのネブラスカ大学リンカーン校(University of Nebraska–Lincoln)**を中心に、複数の研究機関が協力して行われました。
発表されたのは、食品安全分野で信頼性の高い国際誌 《Journal of Food Protection》(2025年9月号)です。
論文タイトルは:
Highly Pathogenic Avian Influenza (HPAI) H5N1 in Raw Pet Foods and Milk: A Growing Threat to Both Companion Animals and Human Health
──少し長いですが、つまり「生のペットフードと牛乳に潜むH5N1が、ペットと人に共通のリスクをもたらしている」という意味です。
3.「感染したペット」と「生フード」をつなぐ遺伝子の一致
研究チームは、最近増えている猫や犬のH5N1感染例に注目しました。
感染した動物の多くが、生の鶏肉や未殺菌の牛乳を食べていたため、
- 市販の生肉ペットフードや原乳を実際に調べ、
- H5N1ウイルスの遺伝子を検出し、
- 感染した猫から分離されたウイルスと比較したところ、遺伝子配列が一致したのです。
つまり、生のペットフードや乳製品が感染のきっかけになった可能性が高いと考えられます。
4. H5N1は冷凍でも生き残る――見えないウイルスのしぶとさ
研究では、H5N1ウイルスが冷凍や冷蔵でも長く生き残ることが確認されました。
鳥インフルエンザに感染した鳥の肉や乳が加工過程で混入すると、そのままウイルスがペットフードに残ってしまうおそれがあります。
実際に、北米やヨーロッパでは、H5N1が原因とみられる猫の死亡例が複数報告されています。
研究チームは、「ペットフード業界でも、家きん産業と同じレベルの衛生管理が必要」と呼びかけています。
5. “ナチュラル”を大切にしながら、“安全”も考えよう
「自然でナチュラルな食事をあげたい」という気持ちはとても素敵です。
でも、“生”だからこそのリスクもあることを覚えておきたいですね。
特に鳥インフルが流行している時期には、
- 生の鶏肉や生乳をそのままあげない
- 牛乳は殺菌済みのものを使う
- 食器や調理台を清潔に保つ
といったちょっとした心がけで、感染のリスクをぐっと減らすことができます。
6. 「自然」と「科学」のバランスが、愛犬愛猫の健康を守る
「それでも手づくりや自然食にこだわりたい」という方には、
- 加熱済み・低温調理タイプのペットフード(HPP〈高圧処理〉製品など)
- 獣医師が監修したフリーズドライ総合栄養食
- 原材料の産地や製造過程を公開しているブランド
といったものがおすすめです。
素材の良さを残しながら、細菌やウイルスへの安全対策もきちんとされています。
7. “One Health”の視点で、家族みんなの健康を守る
この研究は、「One Health(ワンヘルス)」──人・動物・環境の健康はつながっている、という考え方をあらためて感じさせてくれます。
ペットのごはんを選ぶことは、
同時に家族みんなの健康を守ることにもつながります。
ちょっとした意識の変化が、
あなたの大切なパートナーの命を守る力になるかもしれません🐾

