🐾3 犬のしつけ、「罰」は本当に効果的?
― 科学が示した“ごほうびトレーニング”の力 ―
「悪いことをしたら叱る」「ダメなときは強く言う」――そんな“罰ベース”のしつけが、実は犬の心に強いストレスを与えることが分かってきました。
今回紹介するのは、ポルトガルの研究チームが実際のしつけ教室で行った最新の科学的検証です。
ごほうび(正の強化)を中心にしたトレーニングが、犬の心と行動にどんな影響を与えるのかを見てみましょう。
🐶「しつけ=厳しく叱る」…その常識、変わるかもしれません
この研究は、「Reward-based(ごほうび中心)」と「Aversive-based(罰中心)」の2つのしつけ法を比較したものです。
犬のストレス反応や学習の速さを科学的に測ることで、どちらがより良い方法なのかを明らかにしました。
🧠 ポルトガル発・行動科学チームによる国際研究
研究を行ったのは、ポルト大学(University of Porto) の動物行動科学チーム。
発表誌は国際的に信頼のあるオープンアクセスジャーナル 《PLOS ONE》(2020年)です。
実際にトレーニング教室に通う92頭の犬を対象に、以下のようなデータを収集しました:
- 唾液中コルチゾール(ストレスホルモン)濃度の測定
- 行動観察:姿勢・しっぽの動き・あくび・舐め行動など
- トレーニング後の学習課題の成績
🔬 “罰を使う教室”と“ごほうびを使う教室”を科学的に比較
研究チームは犬を2つのグループに分けました。
Aversive-based group(罰を使う教室)と Reward-based group(ごほうび中心の教室)です。
トレーニング中の行動をビデオで記録し、ストレスサインを解析。さらに、唾液からストレスホルモンコルチゾールを測定しました。
その後、学習課題を通して「どのグループが早く課題を覚えるか」を比較しました。
📈 「罰ベースのしつけ」はストレスを高め、学習効率を下げる
結果は明確でした。罰を使うトレーニングを受けた犬は:
- あくび・舐め行動・身をすくめるなどのストレス行動が増加
- 唾液コルチゾール値が上昇(ストレス反応)
- ごほうびグループより課題の学習スピードが遅い
つまり、「罰を使うほど犬は混乱し、学びにくくなる」ことが科学的に示されました。
一方、ごほうびを使った犬は落ち着いて集中し、飼い主との信頼関係も良好でした。
💡 「叱る」より、「伝える」ほうが心に届く
犬は「恐怖」ではなく「安心」の中でこそ学びます。
叱るよりも、できた瞬間に褒めてあげる――それが犬にとって一番の学びのサインです。
トレーニングは服従の時間ではなく、犬と心を通わせるコミュニケーション。
「できたね!」という優しい声が、犬の自信と幸福感を育てます。
🛍️ ごほうびトレーニングをもっと楽しく
- トリーツポーチ: おやつを素早く取り出して褒めるタイミングを逃さない。
- トレーニング用おやつ: 低脂肪・小粒タイプで健康的に続けられます。
- クリッカー: “カチッ”の音で正しい行動を明確に伝えるツール。
🐕🦺 まとめ
「やさしさ」が、いちばんのしつけになる
この研究が示したのは、「罰ではなく、褒めることが犬の幸せと学びをつくる」という事実です。
飼い主の優しさが、犬にとって最大の安心であり、最良のしつけです。
今日のトレーニングから、「叱る」より「ほめる」を少しだけ意識してみませんか?🐾
📚 参考文献
Vieira de Castro, A. C., Fuchs, D., Morello, G. M., Pastur, S., de Sousa, L., & Olsson, I. A. S. (2020).
Does training method matter? Evidence for the negative impact of aversive-based methods on companion dog welfare.
PLOS ONE, 15(12), e0242392.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0242392

